ケースメソッド教育研究所

教育効果

教育効果を理解するための前提

ケースメソッドの教育効果を議論するには、その前提となる次のふたつのことを理解しておく必要があります。ひとつは、ケースメソッドが大人のための学習方法であること。もうひとつは、ケースメソッドは「知識」というよりはむしろ「実践力」を身につけるための授業方法であることです。いま用いた「知識」と「実践力」という言葉は、「理論知識」と「実践知識」、あるいは、「認識科学」と「設計科学」という言葉にも置き換えることができますが、少し難しくなってしまいます。
いずれにしても、こうした前提を置いてから議論を始めようとするのは、ケースメソッド教育に限らずあらゆる教育方法が、教育の目的、教育の対象、そして伸長させる能力を特定してはじめて議論できるものだからです。
 

理論知識と実践知識について詳しく知りたい方はこちら
「ケースメソッドによる経営能力の育成」高木晴夫,2003
http://www.kbs.keio.ac.jp/takagilab/lab/library/casemetod/casemethod.htm
(リンク先:慶應ビジネススクール 高木研究室 最新出版物)

教育効果

本来であれば、大人の学習特性がどのようなもので、「実践知識」、「設計科学」とは何であるかを説明するべきなのですが、短く説明しにくいので、結論に飛びます。
ケースメソッドによるディスカッション授業では、分析力、洞察力、情報統合力、論理構築力、戦略構築力、表現力、説得力の強化訓練が可能です。すなわち、「移転困難性が高い能力群の育成を、大人の学習特性を生かすことで可能にするのがケースメソッド教育である」と言えます。
さらに言えば、こうした能力群の先にある「人間的魅力」の高まりを手にするところまで、私たちは求めたいと考えます。他者との濃厚なコミュニケーションの中で進行する協働学習なので、人間的成長も十分に期待できるのです。

期待した教育効果を得るためには

ケースメソッドの教育効果は前に述べた通りですが、私たちがこれまでに慣れ親しんできた講義型の授業方法と比べると、討議型の授業方法を健全なかたちで成立させるためには、いくつかの工夫と注意が必要です。ケースメソッドによるディスカッション授業には、いくつかの「作動条件」がありますので、そのひとつひとつを丁寧に整えていくことがとても大切です。それは、教える側にとっても、学ぶ側にとっても、克服すべきポイントがいつくかあることの示唆でもあります。

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